2024年3月1日(金)~31日(日)の間は、外来診療は休診となります。
4月1日(月)以降の診療につきましては、現在の場所で新たな医療機関として、内科外来・眼科外来・泌尿器科外来・人工透析・健診センターの診療を行う予定です。(入院診療は行いません。)
内視鏡室について
患者様に負担をかけない治療を実現する為に、長津田厚生総合病院の消化器病センターでは、腹エコー、胃カメラ、大腸ファイバースコープ、ERCP (内視鏡的逆行性胆管膵管造影) 等、最新の医療機器を積極的に導入した治療に取り組んでいます。
とりわけ、内視鏡室の増強に力を入れており、患者様の負担を軽減する目的で、経鼻内視鏡も導入しました。
経鼻内視鏡タイプの胃カメラは、鼻の穴からカメラのケーブルを挿入するもので、従来の口から入れる経口タイプのケーブルよりも細く、挿入時の不快感はより少ないと言われています。
内視鏡検査の特色
昭和大学横浜市北部病院消化器センターとも連携し、内視鏡検査、治療を行っております。上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)、下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡)のみならず、病変に応じて、内視鏡的止血術、内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)、内視鏡的胃粘膜切開剥離術(ESD)、内視鏡的大腸ポリープ切除術などの治療も行っております。
また、内視鏡的逆行性膵管胆管造影(ERCP)、内視鏡的乳頭切開術(EST)による採石術、内視鏡的逆行性胆管ドレナージ術(ERBD、ENBD)など、胆道系疾患の治療も行っております。慢性肝炎に対するインターフェロン治療や、肝臓癌に対するラジオ波焼灼術、エタノール注入療法、肝動脈化学塞栓術なども行っております。
外科医とも連携し、外科的治療の必要な患者様に関しても速やかに治療できるよう、心がけています。
内視鏡検査の利点
内視鏡検査は、医療機器や技術の発達により応用範囲も広がり、診断から治療までスムーズに行われるようになってきました。当院では、消化器内視鏡専門医の資格を有する医師が交代で、お待たせしない、安心で安全な検査を実施しています。
- バリウム検査では見つかりにくい、凸凹の少ない病変(早期がんや浅い潰瘍)が分かります。
- 胃炎、食道炎など、粘膜の色の変化のみの病気を発見できます。
- ヘリコバクター・ピロリ菌による、胃炎の状態を知る事ができます。
※ヘリコバクター・ピロリ菌
ヘリコバクター・ピロリ (Helicobacter pylori) は、ヒトなどの胃に生息するらせん型の細菌で、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌の発生につながることが報告されています。細菌の中で、悪性腫瘍の原因となり得ることが明らかになっている唯一の病原体です。
検査の楽な鼻からの内視鏡
経鼻内視鏡当院では、鼻からスコープを挿入する「経鼻内視鏡」を導入していますが、経鼻内視鏡には次のような特長があります。
特長1 吐き気の少ない検査です
舌の付け根を押さえると「オエッ」となる「咽頭反射」が起きます。経鼻内視鏡は、スコープが舌の付け根の上を通らないため、ほとんど吐き気をもよおすことなく検査を受けていただけます。
特長2 検査中に話ができます
経鼻内視鏡は検査中でも口を自由に動かせるため、「苦しくありませんか?」「はい、大丈夫です」といったように、会話を通じて状態や気になったことをすぐに確認できます。
特長3 身体への負担が少ない検査です
検査に用いる麻酔薬が少量で、身体への負担が少なくて済みます。
胃内視鏡検査の流れ
- 検査の前夜のタ食は午後9時頃までにすませてください。当日の朝は、何も食べないようにします。
- 病院では胃をきれいにする薬を最初に飲みます。次に胃の緊張をとる注射をします。
- 内視鏡(スコープ)を飲みやすくするために、喉の奥を麻酔します。
- 体をしめつけるものは、できるだけはずして、リラックスしてください。上着は脱ぎ、メガネや時計、入歯をはずし、ベルトはゆるめます。
- 内視鏡(スコープ)はムリに飲み込もうとせず、医師の指示に従って軽い気持ちで飲み込みます。噛喉を通ったら、ゆっくり静かに「腹式呼吸」をすると、検査は楽に受けられます。全身の力を抜いてゆったりした気持ちで受けましよう。検査は数分間で終わります。
- 検査が終わっても、咽頭の麻酔は1時間くらい残っています。すぐにうがいなどはしないでください。自動車、パイクの運転をしばらく見合わせてください。
大腸内視鏡検査の流れ
- 検査の3日前から食事で消化の悪いもの(繊維が多い、種が多いなど)は控えてください。前日のタ食は午後9時くらいまでにとり、その後は絶食です。水分はとって構いません。
- 前日から食後に指定の洗腸液を飲んでいただきます。当日は約1リットル程度の大腸の洗浄水を飲んでいただき、お腹の中を空にします。
- 便がきれいになったら、更衣室で検査着に着替え、検査室へ移動します。
- 検査中はリラックスしてベッドに横向きになってください。
- 大腸をよく観察するために横向きから仰向きになっていただく場合もあります。担当医の指示に従ってください。
- 検査終了後、自転車、バイク、お車等の運転はできません。
内視鏡治療の主な疾患
胃癌
胃粘膜内にとどまるような早い段階の胃癌であれば、内視鏡的に治療することができます。病変の下に生理食塩水などを注入し隆起させ、高周波スネアで病変部を切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)や特殊なナイフを用いて病変部を広範囲に剥離して取り除く内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)を行います。ただし、切除した組織の精密検査の結果で外科的手術などの追加治療が必要となる場合もあります。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍
潰瘍が深くなると胃や十二指腸壁内の血管が破綻し出血することがあります。この場合、腹痛があるだけでなく、出血量が多ければ血液を吐くこともありますし、そうでなくとも墨汁のような黒い便(タール便)がでるようなります。内視鏡下にクリップやAPC(アルゴンプラズマ焼灼術)で止血します。潰瘍は内服薬で治療できますし、胃内にピロリ菌がいれば内服薬で除菌治療も行います。
大腸ポリープ
大腸のポリープがある程度の大きさ以上になると癌化する危険性が高くなります。そうなる前に内視鏡的に切除することが大切です。ポリープが茎のあるキノコのような形のものであれば、茎の部分に高周波スネアをかけ切除するポリペクトミーを行い、平たい形のものであれば、その下に生理食塩水を注入し高周波スネアで切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行います。
総胆管結石
肝臓で胆汁が生成され、それが胆管内に集められた後、総胆管という一本の管を通って十二指腸へ排出されます。その間に胆嚢があり、胆汁を濃縮したり、貯蔵する役割をもっています。胆嚢内の石が総胆管内へ流出したり、総胆管内で石ができると、胆汁の流れがそこで堰き止められるために胆汁がうっ滞し、肝機能障害や黄疸の原因となります。側視鏡という特殊な胃カメラを用いて十二指腸側から胆管内へカテーテルを挿入し胆管を造影する(内視鏡的逆行性胆管膵管造影:ERCP)ことで総胆管結石を診断し、胆管の入り口である乳頭部を特殊なナイフで切開する(内視鏡的乳頭切開術:EST)ことで総胆管結石を手術をすることなく内視鏡的に取り除くことができます。
嚥下障害
脳血管障害(脳梗塞や脳出血)、認知症などにより嚥下機能が低下し、経口摂取できなくなることがあります。長期にわたり点滴だけで栄養をとることは困難であるため、このような方は胃瘻のよい適応です。胃瘻とはおなかに小さな口を作るようなもので、栄養を摂るためのチューブを腹壁から直接胃内へ留置します。胃カメラを用いて安全かつ短時間で造設できます。ご自宅や施設での管理も容易です。