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逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃液が食道に逆流して、食道に炎症を起こす病気です。
本来、食道と胃のつなぎ目は筋肉の働きで閉じていますが、それが何らかの原因でゆるんでしまうと胃の内容物が食道に逆流します。
胃の内容物は胃酸により強い酸性ですが、食道は胃酸に対しての防御機能が無いため、炎症を起こしてしまいます。これが逆流性食道炎です。
逆流性食道炎の方は、ここ20年ほどで約5倍に増加しており、広く認知されるようになりました。当院でも多くの患者さんが治療を受けています。
逆流性食道炎の原因
食生活の欧米化や、肥満、飲酒等が原因とされています。食道裂孔ヘルニア(胃の一部が食道側に飛び出してしまう病態)も胃と食道のつなぎ目が緩むため原因になります。
また、ピロリ菌の除菌治療も逆流性食道炎を誘発したり、悪化させたりします。除菌治療を受ける方が増えた事で逆流性食道炎の患者さんは更に増加しています。
症状について
主な症状は、胸焼けや呑酸(胃酸が口の中に上がってくる感じ)ですが、のどの痛み、胸痛、胃の不快感、吐き気など様々な症状があります。また、咳だけがずっと続いたりする事もあります。
一方で何も自覚症状が無い事もあります。特にご高齢の方は食道の粘膜障害が強くても症状が出ない事がありますので注意が必要です。
なお、粘膜障害が強い逆流性食道炎は、出血や食道狭窄などを合併する事があります。その場合、吐血したり、食事が喉につまったり、吐いたりする症状が出ます。
検査について
診断は症状と内視鏡検査(胃カメラ)により総合的に判断します。
また胃酸を抑える薬であるPPI(プロトンポンプ阻害薬)で症状が改善するかをみるPPIテストも診断の手助けになります。
なお、食道内pH測定や食道内圧測定が行われる事もありますが、患者さんの負担が大きく一部の専門機関でしか行われておりません。
治療について
治療は生活習慣の改善と、薬物療法です。
食事面で気を付ける事は、脂っこいものや、甘いもの、炭酸飲料やアルコール、刺激の強いものはなるべく避けてください。
また食後すぐに横になると重力の関係で逆流しやすくなりますので、食後1-2時間は横にならないようにしましょう。
前かがみになる事や、ベルトをきつく締める事も逆流を誘発するので控えましょう。
禁煙も重要です。
薬物療法は主に胃酸の分泌を抑える薬を使用します。
PPI(プロトンポンプ阻害薬)の内服治療が一般的によく行われます。
また更に強く酸を抑えるP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)という薬も効果があります。
いずれのお薬も1日1回の内服で、大きな負担無く治療出来ます。
副作用は軟便、下痢、味覚異常、肝障害等があります。なおPPIの長期服用では慢性腎臓病の増加、認知症、骨折、肺炎、ビタミンB12欠乏などがあり、特に高齢者は注意が必要です。P-CABは長期使用のデータが少ないため今後の情報集積が待たれます。
以上、逆流性食道炎についてまとめさせていただきました。
逆流性食道炎は適切な治療を行う事で快適な日常生活を送れるようになります。
逆流性食道炎は何科(診療科)を受診すれば分からずお困りの方は、お近くの医療機関(消化器内科または内科)の受診をご検討ください。
消化器内科(消化器病センター)のご案内
逆流性食道炎について不安や悩みのある方、症状のある方、検査をご希望の方は、当院(長津田厚生総合病院)の消化器内科(消化器病センター)へご相談ください。