
人工関節全置換術について
膝関節や股関節に障害があるために、痛みが強かったり関節の動きが悪くなると日常生活に支障をきたします。人工関節全置換術を受けることで痛みや機能は改善し、日常生活が手術前より楽になる効果が期待できます。しかし、手術に伴う危険性(合併症)が少なからずあります。
股関節や膝関節の役割
股関節や膝関節の働きは、体幹(胴体)と下肢(あし)をつなぎ体重を支える重要な役割をしています。
股関節は身体の中で最も大きな関節で、正常な股関節は安定しているため、ねじったり大きく動かしたりしても外れることはなく、歩いたり座ったりといった基本的な動作に対応しています。
膝関節には様々な筋肉、腱、靱帯がついており、それらによって安定性を保ったまま曲げ伸ばしをすることが出来ます。特に太もも全面の筋肉は膝関節を曲げ伸ばしする際、体重を支える重要な役割を担っています。
股関節や膝関節に何かしらの問題が生じると痛みや動きの制限があるため、日常生活に支障をきたします。
対象となる病気
人工関節全置換術の対象となる病気には主に変形性関節症・関節リウマチ・大腿骨壊死症などがあります。
変形性関節症は成人の膝もしくは股関節疾患の中でもっとも多いもので、高齢者人口の増加に伴い年々増加傾向にあります。関節軟骨が磨り減ったり骨が変形したりすることで、痛みなどの原因となります。
関節軟骨が磨り減る状態のことを変形性関節症といい、関節のつくりが正常な人でも年齢とともに増加します。
手術について
人工関節全置換術は、痛んでいる関節を取り除き、人工の関節に置き換える手術です。
症状は関節の痛みや機能障害がひどく、仕事や日常生活が著しく制限されます。治療法は病気の種類、関節の障害の程度、年齢、職業など様々なことを総合的に考えて決定します。手術療法は保存療法(手術をしない)では痛みが改善されず、レントゲンでも関節の破壊が著しい方が適応となります。
人工関節全置換術によって、関節の痛みが軽くなり、変形や痛みのために制限されていた関節の動きがよくなります。また体の他の部位(腰など)への負担が軽くなります。活動範囲が広がることで、下肢(あし)の筋力増強も期待できます。
現在使用されている人工関節の耐久性は、個々の患者様の状態や生活の仕方など様々な要因によって異なりますが、約15~20年以上といわれています。最近では人工関節の成績も向上しているため、ご高齢の方だけでなく、若い方でもより快適な生活を送るための手段として人工関節の手術を選ばれる方もいます。
整形外科のご案内
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関節外来 月曜日午後 川村正樹