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胃がんについて
胃は内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜の各層から構成されており、胃がんは最も内側の粘膜から発生した悪性腫瘍を指します。
粘膜には胃腺(噴門腺、胃底腺、幽門腺)があるため、胃がんはほとんどが「腺がん」という組織型になります。
そして腺構造の明瞭なものを「分化型」、不明瞭なものを「未分化型」と言います。
一般的に未分化型の方が進行は早く、たちが悪いがんと言えます。
なお、特殊な胃がんとして「スキルス胃がん」があります。
スキルス胃がんは胃壁の中で染み渡るように広がり、粘膜の表面にはあまり現れません。そのため発見が難しく、見つかった時にはかなり進行している事が多いがんです。
組織型は多くが未分化型です。がんは粘膜から発生した後、徐々に外側に増殖し、漿膜にまで達します。そしてその過程で血管やリンパ管に入り込み、転移を起こします。
また更に進行すると漿膜の外側にも拡がり、周囲の臓器を巻き込みます。この進行の程度により『ステージ(病期)』が決まります。
胃がんの発生要因

がんが発生する胃粘膜は多くが萎縮をおこしており(萎縮性胃炎)、それにはヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が密接に関連している事がわかりました。
もしもピロリ菌がいる場合は除菌治療をお勧めします。
他には、喫煙、多量の塩分摂取、多量の飲酒が胃がんの発生要因になると言われています。
胃がんの疫学

近年、日本ではピロリ菌の感染率が低下し、胃がんの罹患率は穏やかな減少傾向を示しています。
しかし、依然として男性ではがんの中で患者数がトップであり、女性では乳がん、大腸がんに次いで3番目に多いがんです。
胃がんのステージ(病期)
がんが胃の壁のどこまで浸潤しているかを示したのが「深達度」です。深達度が粘膜下層までのものを早期がんと言い、粘膜下層よりも深いものを進行がんと言います。
そして、深達度に加えて、リンパ節への転移と、遠くの臓器への転移を評価してステージ(病期)が決まります。
ステージはⅠからⅣに分類され、ステージⅣがより進行した状態です。
胃がんの症状・初期症状

初期症状として、お腹の不快感、食欲低下、胸焼け等の症状が出る事がありますが、ほとんどの場合、症状が出ません。
そのため、「症状が無いから大丈夫」と考えると、知らないうちにがんが進行してしまいます。
初期の段階で胃がんを発見するには、症状が無くても、胃がん検診などで定期的に検査を受けていただく事が重要です。
がんが進行すると、胃(みぞおち)の痛み、不快感、食欲低下、嘔吐、倦怠感、黒色便等の症状が出ます。
この様な症状がある方は進行した胃がんがある可能性がありますので、すぐに医療機関を受診してください。
胃がんの検査

内視鏡検査やX線検査を行います。どちらの検査も非常に有用ですが、特に内視鏡は近年の画像技術の進歩により精度が向上し、より微細ながんまで捉えられるようになりました。
CT検査も有用です。CTでは転移の有無も含めて総合的な評価が出来ます。しかし早期がんの発見には不向きです。
血液検査も重要で、貧血がある場合は胃がんを含めて、何らかの悪性腫瘍が原因になっている事があります。
腫瘍マーカーも有用ですが、あくまでも補助的な検査になります。
腫瘍マーカーが高値の場合、胃がん(または他のがん)を疑いますが、腫瘍マーカーが高値でもがんではない事があります。また逆に腫瘍マーカーが正常値でもがんの事があります。
胃がんの治療

がんの深達度や転移の有無によって治療方法が異なります。
がんが粘膜内に留まる早期胃がんは内視鏡治療の対象になります。内視鏡治療は近年急速な拡がりを見せており、当院でも積極的に内視鏡治療を行っています。
進行胃がんに対しては、遠くのリンパ節や、他の臓器に転移が無ければ手術が検討されます。
他の臓器への転移がある場合は化学療法や放射線治療等が検討されます。
これらの積極的な治療が困難な場合は、緩和医療が行われます。
胃がんの予防

ピロリ菌に感染している方は除菌治療を受けてください。
除菌治療による胃がんの予防効果は若年者の方が高いため、早めの除菌がお勧めです。
食事は生野菜、果物などしっかりと摂って、塩分は控えめにしてください。
緑茶やビタミンCも胃がんの発生を抑えるともいわれています。
当院で胃がん手術を受けられた患者様の声
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手術を受けられた患者様の声(消化器内科/胃がん)
胃がんの手術をお願いしました。 初めてであり何もわかりませんが無事に退院できます。 ありがとうございました! 2021年12月9日 ペンネーム/匿名 胃がん手術
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