当院の戸田憲孝病院長がドクターズファイル編集部よりインタビューを受けました。
まずは病院の歴史を教えてください。
私の祖父である初代病院長が戦後間もない1948年に戦災孤児を救済するため「ボーイズ・ホームズ」という施設を設立し、翌年に当院の前身となる「日ノ出町厚生病院」という24床の病院に転換しました。長津田に移ってきたのは1955年のことで、ほぼ無医村状態だったこの地域の方々のたっての希望もあって、「長津田厚生病院」を開設したと聞いています。当時は病院の周りは空き地だらけだったそうですが、東急田園都市線や国道246号線の開通などによって横浜北部地域の人口が急激に増加するのに伴い、病院の規模や内容も拡充してきました。昭和43年に「長津田厚生総合病院」として再スタートしたのを機に、地域にニーズに応える形で健診部門、人工透析部門、訪問看護ステーションなどの医療環境を整え、現在に至っています。
地域密着型の病院として多大な信頼を集める強みとは?
何かあった時、紹介状がなくても気軽に安心して診てもらえるという点でしょうか。近年は医療の専門化が進み、当院にも私を含め多数の専門家がいますが、専門に特化しているということはありません。つまり、どの医師にかかっても自分の専門以外は診れないということはなく、自分の専門領域に関係なくどのような症例にも対応できる「総合診療医」であるという点が当院の特徴であり、強みだと思います。専門の医師が自分の専門分野を診ることができるのは当たり前のことで、むしろ何でも診れるというのが医師としてのあるベき姿なのではないでしょうか。言い換えれば、高度で専門的な医療は大学病院や規模の大きい病院にお任せしますが、「診断力では負けないぞ」という強みです。何科にかかればいいのかもわからない患者さんを総合的に診て精確な診断をし、必要があれば検査や専門機関に橋渡しをする、いわば専門性をもつ身近なかかりつけ医の集まりですね。
親子2代、3代で長年通い続けるファンも多いと聞きました。
患者さんの中には病院の看板だけで安心してしまう方もいらっしゃると思いますが、うちに来られる患者さんは○○先生でないとダメというプロの患者さんが多いんですよ。肩書だけではダメなんです。ひいきにしている定食屋が美味しいサバの味噌煮を出せなくなったらお客さんは離れていってしまうのと同じで、納得のできる診療を提供できなければ地域のかかりつけ医としてのうちの存在価値はないと思っています。だから大学病院を紹介する時も病院の名前だけでなく、○○先生なら安心してお願いできるというように、たとえ紹介であっても常に顔の見える医療を心がけています。患者さんに対する医師の責任感も強く、長い付き合いの患者さんが気づいた時には手遅れだったというようなことのないよう、日頃からのおつきあいを大切にしつつ、総合的な視野で患者さんの将来的な健康も守っていければと考えています。
新病院を建築すると伺いました。
医療面においても技術の進歩はここ数年で目を見張るものがあります。特にAI(人工知能)の導入による病院内の作業効率の見直しは必須と考えています。コンビ二ではレジにお客さんが並んでいたら別のレジを開いて対応する時代なのに、病院だけが患者さんを何時間も待たせて当たり前という意識ではいけないと思うのです。かといって病院が新しくなればすべての問題が解決するとは思っていません。患者さんに来てよかったと思っていただけるような心の通う医療を大切にしつつ、時代の流れに即した医療環境を整備することで患者さんとスタッフの負担を軽減し、みなさんに喜んでもらえる病院にしていきたいと思っています。新病院の建設は病院の診療を続けながら部分的に立て替えていきますので、ご安心くださいね。
最後に読者にメッセージをお願いします。
当院の自慢は勤務医をはじめ優秀なスタッフがそろっていることです。こんなことで病院に行ってもいいのかしらと気にする前に、まずは来てください。わからないことがあれば、なんでも聞いてください。気になる症状があれば気軽に検査を受けてください。なんでもないということがわかれば安心できるし、医師にとっても健康な状態のデータを記録に残すことで、この先に変化があった時に小さな兆しに気づきやすくなります。当院では人間ドックをはじめ、マルチスライスCTやMRI、マンモグラフィーなど先端の検査設備を整えています。いつでも安心して診てもらえるということに加えて、先端機器による検査もしてもらえる身近な総合診療所として、何かあってからではなく、病気の早期発見、もしくは病気を未然に防ぐためにぜひ気軽にお越しください。