“持参薬”とは患者さんが入院時に当院に持ち込んだお薬です。当院の外来で処方されたもの、他院で処方されたもの、様々だと思いますが、現在服用または使用している内服薬・外用薬を含む全てのお薬のことです。
この持参薬の管理は病院薬剤師の仕事の中の大きなテーマとなっています。
どうしてそんなに重要なのでしょう?分かりやすく説明していきます。
まず、当院では入院時に病棟にて全ての持参薬を提出して頂いています。その後、薬剤師が患者さんまたはご家族と直接面談し、薬剤服用歴、アレルギー歴など確認します。そして持参薬1つ1つについて、何の薬?いつ飲んでいるのか?内容を確認します。ただし当院では医療安全上の理由を第一に、原則持参薬は使用せず、入院中は当院で採用しているお薬に切り替えて、服用して頂きます。
医療安全上の理由というのは、大きく3つが挙げられます。
- 同じ薬効の薬をだぶって服用してしまうというような重複投与を避けるため
- 持参薬があっても提出せずにいると、継続の必要があるにも関わらず中止していることがある、というような自己判断での中止を避けるため
- 手術前に中止する薬剤を把握する必要があるため
患者さんから“全部、薬を持ってきたのになぜ使ってくれないの?”“こんなにたくさん薬が余っているのに使ってくれないの?”という質問も受けます。これに関しては、退院時に退院処方の日数を調整するなどして対応しています。
ただし例外的に持参薬をそのまま使用するケースもあります。以下の3つの場合です。
- 緊急入院や、祝日の入院など、当院でご用意できない薬剤がある場合
- 眼科、精神科など他の科にかかられており、変更不可と主治医が判断した場合
- 短期入院(3泊4日まで)の場合(検査入院など)
当院への入院が決まった段階で、これまでお伝えしてきた内容を記載した書面をお渡ししています。
薬剤師にとってこの持参薬管理は細かく神経を使う業務ですが、一番重要な確認事項であると考えています。このように当院薬剤師は患者さんに入院中、安心してお薬を服用して頂けるよう、日々努めています。
薬剤科 科長 三瓶 るり子